百合。同性愛に嫌悪のある方はバックリターン。
おんなのこばかりのイラストをのそのそ更新。
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「ただいま」
「おかえりなさいませ。紗由香お嬢様」
何日か前に私の「お気に入り」になった新人家政婦 -私はメイドと呼んでいるのだけど- のひとり、カスミが学校帰りの私を玄関で出迎えた。
彼女は平凡な家庭で育ったらしいが、某有名大学の出だったりと高学歴の持ち主だ。
知識が豊富で人懐こく、愛想も良い。おまけに微笑うと花が綻ぶようで、周りの雰囲気を明るくする。
(千穂によく似ている……)
そう。あの部屋に閉じ込める前までは、ムードメーカーの千穂はいつも笑顔で眩しい存在だった。
さり気無い他人への気遣いとか、どこか憎めない茶目っ気とか…。そんな千穂が、とても大好きで。
カスミと違う点といえば、千穂は時々暗い顔をしていた。無意識に、遠くへ意識を飛ばして。
声を掛けると次の瞬間にはいつもの笑顔。
その暗い顔の意味をいまだに知らない。
(……私はまだ、何も知らない)
千穂の全てを知りたくて、誰にも奪われたくなくて、閉じ込めた。
なのに何故だろう。
大好きだった笑顔も、彼女の纏う優しい空気も、何もかもが消えた。
私だけが見られる筈だった。私だけが「千穂」を独占出来る筈だった。
―――…これじゃあ、意味が無い。
今部屋で閉じ込めているチホは、本当にただの飼い猫。飼われているも同然。
私が部屋に入ると嬉そうな表情をするけれど、笑ってはいない。
近付くと条件反射のように作り笑いを浮かべ、「おかえり」とキスをしてくる。
嬉しいのに……ちっとも、満たされない。
この子は千穂じゃない。
私が好きなのは………
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